ALS(筋萎縮性側索硬化症)のある女性。
嚥下障害となり、胃瘻造設。
経口摂取はわずかだが、1日で1/2食程度食べている。
主たる介護者は夫。もともと調理の経験なし。
それでも、夫なりに食事を準備し、懸命に介護。
夫曰く「何を準備していいのかわからない・・・。」
「あれこれ食べたいものをはっきり言ってほしいけど、言ってくれない。」
当の本人は、
「食べたいものはあるけれど、食べたいものは食べられない。」
「上手にむせられず、呼吸困難感が強いから、怖い。むせる事が怖い。」
「私ひとりのケアにたくさんの手がかかっている。
食事だけじゃないの。私ひとりじゃ何もできない。
だから、あれこれ食べたいだなんて、わがまま言えない・・。」
「別にいいのよ。食べなくても。」
「どうしても食べたかったら、私専用のヘルパーさんでも雇うわ。
でも、そこまではいいかなって思うのよ。」
誤嚥に対する不安、食べたい欲求。ご自身の想いと、家族への想い。
さまざまな葛藤のなかで、涙を浮かべながらお話ししてくださいました。
ご本人とご家族がお互いに想い合っているからこその葛藤。
本人が望むことをやってあげたい。
そうはいっても、やっぱり現実的に介護は厳しい。精神的にも体力的にもきつい。
介護者も葛藤している。
本人だけでは、在宅介護は続かない。介護者あっての在宅介護。
私たちに課せられた役割は大きい。