たまたまみた雑誌で「臨床の限界」についてのある医師のコメントが載っていました。
「医者になって少し経験すると、自分はなんでも診療ができるという錯覚に陥る。
しかし、それは大きなミスにつながる。常に謙虚でないと医者はいつか痛い目を見る」
自分に当てはめて振り返ってみます。
同期の栄養士が10人もいて、
そのうち2人は大学院を出た管理栄養士と臨床経験のある管理栄養士。
そして、私は短大卒の栄養士。
病院という組織の中で、栄養士として実力をつけようと必死に過ごした数年間。
なんでも患者から学び、患者中心に考える「聖隷精神」は知らぬ間に身につき、
嚥下障害に出会い、
自ら椎間板ヘルニアで入院の経験をしたことも含めて
病院での経験は、私にとって貴重なものでした。
大きな転換期は、厚木に来てから。
最先端で臨床に関わっていたときとは、全く違う在宅の世界。
栄養管理に関する専門知識は病院時代以上に求められ、
さらに大きく求められるのは、人間性。
たとえ知識や情報をもっていても、誰にどんなタイミングでどのくらいの量を出すのか、
これを間違えると、相手にもされない、またはうるさいと煙たがれます。
「がん末期や終末期では、医者の力というよりは本人の生きる力が大きく影響してくる」
前述の医師が言った言葉です。
在宅の仕事をやり10年がたちまhした。
在宅での看取りを経験すると、本来の「食支援」の意味が見える気がします。