ある利用者さんが亡くなられました。
食べることが大好き、認知症が進み徘徊が始まる、脳梗塞を起こし軽い麻痺が残る
ここ数年様々なことがあり、徐々に解除量も増えていきました。
ある時期、血圧の変動が大きく、主治医はもうターミナルだと話されましたが、
私にはどうもそうは思えませんでした。
食べられなくなっても、食形態を変えたり、条件を変えたりと
その時その時にできることをやり、様子を見ていました。
これらは功を奏し、また状態は安定し、食事も全量摂取できるようになりました。
でもある日伺ったときの様子は今までと少し違っていました。
食事はまずまず食べられていましたが、顔面の様相も、排泄の状況も。
今回は、厳しいかも・・
一時的に食べられた時もありましたが、そう思ってから1週間。
やはり彼女は旅立っていきました。
亡くなった後で考えるのは、どのタイミングでギアチェンジをするるのか、ということ。
回復する余地があるのに、「この経過では、食べられなくても仕方がない・・」
という判断がされれば、積極的に栄養介入することなく、
なくなってしまうケースもあります。
でも、
「低栄養になるからしっかり栄養を入れなきゃ・・」
と終末期にがんばりすぎるのもどうかと思います。
私の妹(看護師)はホスピスでの経験で、
患者さんの最期がなんとなくわかるときがある、と話していました。
なんでも『押すことは容易。引くことの勇気が必要』
とても難しいことですが、
栄養という側面だけではなく、その人の全身管理をしっかりと行う中で
ギアチェンジの判断ができる栄養士でありたいと思います。