今日は、厚木市広報の方に、
ある在宅療養者Fさんとそのご家族をご紹介しました。
何事もなく元気に過ごしていた7年前の70歳のある日、
クモ膜下出血で倒れてしまいます。
急性期病院では、4か月間意識不明の状態が続きますが、
その後、奇跡的に意識は回復します。
鼻腔栄養のままリハビリテーション病院へ転院し、
胃瘻造設日も決まっていた中、口から食べる可能性を見出され、
わずかにミキサー食を食べている状態で、退院されました。
退院後から関わらせていただき、もう6年。
初回訪問では、体重は33kg、気管切開は人口鼻がついている状態。
急性期からそのまま退院されたのでは?と思えるほどの身体状況でしたが、
その後大きく回復されます。
最初はウナギをつぶして食べたり、ペーシングに配慮したりしながらも、
ペースト食だって食器を工夫すればご馳走になりますよ!
と目で楽しむ方法など、食べることが大好きなFさんに食を楽しんでもらえるよう
アプローチしていきます。
介護者は「こんなペーストのお食事でごめんなさい」「レトルトの市販食でごめんなさい」
とわびる気持ちがある中で、食器をちょっと工夫するだけで
見た目はずいぶん変わり、介護者も少し食事ケアを楽しむことができるようになりました。
2年後には気管カニューレも抜去し、普通食を食べられるようになり、
体重は60kg近くに増加。心身ともにお元気になられ、
デパートでとんかつを食べるまでになったFさん。
食べることのたくさんの思い出を作ることができましたが、
現在は、義歯の不具合をきっかけに、徐々に機能低下し、
全粥や軟菜、時にはペースト食での対応となっています。
誰でも加齢は進みます。
こうやって長くお付き合いしていると、
普通食になったから、食べられるようになったから訪問終了!ではなく、
機能を維持していくために、もしくは機能低下を早期に見つけ対応するために、
継続的に関わっていく意義を改めて感じます。
在宅では、最期まで「食」を通してお付き合いできること、これが私たちの目標です。