今日の訪問の患者さんも、胃瘻の方。
胃瘻栄養をベースに経口摂取を楽しまれています。
重度な嚥下障害をもちつつも、鼻呼吸ができるようになったり、
頸部の可動域が増えてきている。
周囲から見れば重度には変わりないのですが、少しずつですが改善している方です。
今日の訪問では、「バナナが食べたい」
とおっしゃいました。
ふだんからすでに食べていたようですが、実際にみるのは初めて。
熟したバナナと食器をもってきた介護者をみて普段の様子をうかがうと、
器上でバナナをつぶすとのこと。
そこで、バナナをあえて半分に切り、
バナナの中をスプーンでほじくりながら食べる方法をお伝えしました。
(詳細は、三輪書店「在宅生活を支える新しい嚥下食レシピ」にて)
https://ssl.miwapubl.com/products/detail/974
すると、どうでしょう。
今まで器をみながらバナナを食べていたのに、
今はバナナの皮をみながら、その中でつぶしたバナナを食べることができる。
もうそれだけで、患者さんは目を丸くしました。
そして、ほんとうに美味しそうに食べるのでした。
たしかに、私たちはあまりバナナをお皿の上で食べることはないですよね。
果物の中で、バナナをよく買うという人は、
「包丁を使って切ったり、お皿に盛ったりしなくていいから、
つい選んでしまう・・」という人もいるくらいですからね。
途中、咽頭残留の有無を確認しながら約10分間の経口摂取。
たった半分のバナナだけれど、介護者が手に持ったバナナをみながら食べる、
今日も『当たり前のことを大切にしなければ』と感じた訪問でした。