パルマローザのセミナーに参加された栄養士さんの中には、
嚥下障害はあまり分からないけれど、普段は離乳食に少し関わっている・・
という栄養士さんもいらっしゃいました。
咀嚼や嚥下について、いろいろな演習をとりいれてお話ししましたが、
離乳食に関わっている栄養士さんもいらしたことから、
単に高齢者の嚥下障害の話をするのではなく、
離乳期のお子さんの咀嚼や食環境についても例に出し、
お伝えしました。
病院や施設の栄養士さんは、
高齢者の嚥下障害の例え話で、
「ふん、ふん」と相槌され、
離乳食などに関わっている栄養士さんは、
離乳期の話でよく反応されます。
これらには共通点も多いのですが、
少し異なるのは、
高齢者は、一度獲得した咀嚼や嚥下機能が、加齢や病気などで障害するもの、
離乳期は、咀嚼や嚥下機能の正常な発達過程ということ。
また高齢者は疾病により嚥下反射そのものに障害があることがありますが、
子どもたちは、おかあさんのおなかの中にいる胎児のときすでに、
羊水を飲み、嚥下機能は獲得しているのです。
脳の中でも呼吸と同様に嚥下の中枢は、
脳幹部ですからね。
私が講義の中で、「食具を8ヶ月くらいからでも持たせちゃいますよ」
と話したことで(これは食具を使うというより、手に持っているという感覚を脳に入れるということ)
ある栄養士さんから
「手づかみ食べは3歳までいいのではないのでしょうか」
「そんなに早くから食具をもたせるのですか」
という質問を受けました。
確かに手づかみ食べは、大事な発達の過程。
しかし、それを伝えるために、
「手づかみ食べをしましょう!」と食具を持たせずに、
手づかみ食べを進めてしまうのは、少し違うように思います。
個々により発達は異なり、2歳で上手にスプーンで料理をすくい、
手が出ずに食べられるようになっているお子さんもいます。
早く食具をもたせ、その感覚を得ている子ほど、
手づかみ食べの時期が短く、きちんと食具を使えるようになります。
もちろん咀嚼も含めそれぞれの発達も月齢で一律に当てはまらないことも少なくありません。
高齢者も子どもも、個々の機能をしっかりとみないと、
その関わり方の方向性がずれてきてしまいますね。
『栄養士のための離乳食講座』
こんなテーマのセミナーもどこかで企画したほうがいいかな、などと頭をよぎりました。